湯で磨く

うぐいす温泉/かくれ里の湯

 小生がブログを始めたのは1999年のアースデイ(4/22)。
当時、ホームページと呼ばれ、制作に際しデザイナー、プロバイダー
さらにネットに詳しい人と小生の四人での打ち合わせが必要でした。
それぞれの中間地点で会いましょうと人吉に集合。
この二軒は、その時の温泉巡りでのお話し。

 人吉は温泉郷。打ち合わせと称してのミーティング、酒宴、宿泊。
翌朝、帰路で見つけたのが「うぐいす温泉」。
山あいの三月のこと、鶯の声がしていたかは定かではありません。
季節柄、名前に惹かれて行ってみると建物は普通、湯船の大きさも普通、
おそらく鶯の声は格別なのでしょう。
湯につかりふと見ると、湯船に注ぐ大きな蛇口の下に小ぶりの板。
近寄ると「イレバ洗うな」とマジックの拙い文字。仕事柄(歯科医師)考えました。
利用者が体を洗い頭も洗い湯船に。
ホッとしたところで「イレバ洗っとらんかった」と(察するに総入れ歯)。
洗い場で、髭を剃り歯を磨いている人を見ることはあります。
しかし入れ歯となると・・。せめて洗い場で、ご自分の洗面器の中で磨くならまだしも・・。
心地良い湯、きれいな湯で磨きたくなったのでしょうか。

 二軒目。当時、人吉えびの間は高速道路未開通で加久藤峠かくとうとうげループ橋を利用。
人吉からえびのへ向かう国道脇の「のぼり」に目が留まりました。
その名も「かくれ里の湯」・・本当かいな?と思いながらもハンドルを切り横道へ。
かくれ里への道は、まさに千と千尋に出てくるような道。
くねくね行けども「のぼり」が時たま。
興味が不安に変わりそうになった時、やっと建物が見えてきました。
まさに「かくれ里」。
湯の質も上等で「あぁ幸せ」と浸っていると、初老の男性がひとり、
いかにも常連という仕草で入ってきました。
見るともなしに見てびっくり!木こりか山師か?
肌は赤銅色、小柄な体に無駄な肉は全くなく、ムキムキではない筋肉、まさに磨かれた体。
仕事によって磨かれたのか、湯によって磨かれたのか。
ご本人に理由を聞いても「そんなこと知らん」でしょう。
磨こうと思って磨かれるものもあれば、図らずも磨かれるものがある。
小生少々恥ずかしくなり、横目で見ながら湯に身を沈めました。
男性は湯に映る我が姿を見ているのか見ていないのか、しかし湯は見ている。
・・勝手に想像しながら浸っておりました。

<湯屋情報>
湯名:うぐいす温泉
住所:熊本県人吉市紺屋町53
※現在は、閉館しております。

湯名:人吉温泉 かくれ里の湯
住所:熊本県人吉市矢岳3248番地
WEB:http://kakuresatonoyu.jp/

カルノ